このページでは、ポーカーのハンドレンジについて解説しています。
ポーカーのハンドレンジとは
ポーカーのハンドレンジとは、ある状況下でプレーヤーが保持できる役の範囲を指します。
ハンドレンジを知ることで、相手のプレイ方法やベットなどの情報に基づいて、相手が持つ可能性のある手札をある程度絞り込むことが可能になります。
つまり、ハンドレンジを頭に入れておけば、ハンドを読むためのスキルをそれなりに身につけることができます。
相手のハンドが読めれば、当然勝率も上がるというもの。
また、ハンドレンジの知識は、その時々の状況で、自分のハンドレンジの選択や、フォールドするタイミングを理解するのにも役立ちます。
ポーカーのハンドレンジの概念は、コーチングや復習時にも用いられています。
ポーカー ハンドレンジ表
ポーカーのハンドレンジ表では、英数字記号ですべての役の組み合わせを表します。

一番左上のAAから始まり、一番右下の22まで、左から右、上から下へ、降順となっています。
表の右上半分はスーテッドハンド、表の左下半分にはオフスート(アンスーテッド)ハンド、これらを分ける斜線にポケットペアが表示されます。
ポーカー ハンドレンジの形式
ポーカーのハンドレンジには、主に以下の4形式あります。
- マトリックス形式
- パーセンテージ形式
- レンジコンボ形式
- レンジストランド形式
以下、各形式について解説していますので、参考にして下さい。
マトリックス形式
マトリックス形式のハンドレンジは、上の表の通り、13行と13列で169通りのスターティングハンドの組み合わせを表示します。
マトリックス形式は最も一般的で、他の形式よりも視覚的で初心者にもわかりやすいものです。
表を斜めに横切る赤い色のハンドは、2枚のカードの位が同じポケットペアのハンドです。
斜めの赤い枠より上にあるハンドの組み合わせは、2枚のカードのスートが同じスーテッド「s」であることを示します。
斜めの赤い枠より下にあるハンドの組み合わせは、2枚のカードのスートが異なるオフスート「o」であることを示します。
この表記の仕方は、ポーカーの攻略記事やハンド解説などでも使われるので、覚えておくと良いでしょう。
パーセンテージ形式
パーセンテージ形式のハンドレンジは、選んだスターティングハンドの割合を示します。
例えば、ミドルポジションで20 VPIP(Voluntarily Put In Pot の略:ハンドに参加する割合)と表示されていれば、そのプレイヤーが全体の20%のハンドをそのポジションからプレイしていることを意味します。
具体例:ポケットエース
6÷1326=0.0045(0.45%)
ポーカーのハンド数は全部で169のため、1326通りの組み合わせが可能になります。
ポケットエースは6通りの組み合わせがあるため、6を1326で割り算します。
結果、AAでは、0.00045(0.45%)となります。
9ハンドテーブルにおいて、各ポジションからオープン(最初にベットを行う)すべき一般的なハンドの割合:
ポジション | オープンレイズすべき割合 |
---|---|
アンダーザガン | 9% |
ミドルポジション 1 | 10% |
ミドルポジション 2 | 12% |
ミドルポジション 3 | 15% |
ハイジャック | 20% |
カットオフ | 26% |
ボタン | 40% |
スモールブラインド | 67% |
ビッグブラインド | ―(他のプレイヤーのベットに応じて対応) |
レンジコンボ形式
レンジコンボ形式のハンドレンジは、特定のハンドを完成するのに必要なすべてのカードを表示します。
カードの組み合わせには、スーテッドとオフスーツの組み合わせがあります。
また、スーテッドの可能性のないポケット7ひとつをとっても、ハンドの組み合わせは6通り存在します。
7♦ 7♥ | 7♦ 7♠ | 7♦ 7♣ |
7♥ 7♠ | 7♠ 7♣ | 7♥ 7♣ |
この場合、ポケット7で構成されるレンジを説明すると、プレイヤーは6つのポケットセブンの組み合わせを持つ可能性があります。
また、プレイヤーのハンドレンジが「A‐K」だと考える場合、16通りのAKの組み合わせが考えられます。
オフスートの組み合わせは16通り、スーテッドの組み合わせは4通りです。
スーテッド | A♠ K♠/A♦ K♦/A♣ K♣/A♥ K♥ |
---|---|
オフスート | A♠ K♦/A♠ K♣/A♠ K♥/A♦ K♠/A♦ K♣/A♦ K♥/A♣ K♠/A♣ K♦/A♣ K♥/A♣ K♦/A♣ K♥ |
レンジストランド形式
レンジストランド形式のハンドレンジは、選んだハンドをテキスト形式で表示します。
- 「22+」プレイヤーのレンジ内にいずれかのポケットペアがある
- 「77+」プレイヤーのレンジ内にポケット7以上のペアがある
- 「ATs-AQs」プレイヤーのレンジ内に AT/AJ/AQがある
このように、レンジストランド形式は、視覚よりも文章で覚えるのに適しています。
ポーカーのハンドレンジの形態
ポーカーのハンドレンジの形態には、以下の4種類あります。
- ポラライズレンジ
- リニアレンジ
- コンデンスレンジ
- 混合レンジ
1.ポラライズレンジ
「ポーラー」には、「正反対」という意味があります。
ポーカーにおいてのポラライズレンジ(ポラライズドレンジ)とは、非常に強いハンド(ナッツ)と非常に弱いハンド(ブラフ)の正反対のハンドレンジを指します。
ポラライズレンジを見ることが多いのは、リバーでしょう。
例えば、A♠K♥4♦2♣8♦といったボードでの大きなベットは、ポラライズレンジであることを示しています。
AKを持っているか、もしくはハイカードや2のペアでブラフしていることが考えられます。
以下の表は、ビッグブラインドでボタンからオープンレイズに直面しているといった状況でのハンドレンジです。

ポラライズレンジを持つ例は、プリフロップでのオープンレイズや3ベットです。
フロップでのベットは「バリュー」と「ブラフ」を見分けるのは簡単ではありませんが、プリフロップでの3ベットが判断の助けになります。
ボタンは、ブラインドスチールを狙っていることも考えられます。
SBやBBにおいてはすでに強制ベットが置かれているため、前のプレイヤーのベットやレイズに対し、ハンドレンジを広げてコールする場合が多いでしょう。
ただし、ポジションやテーブルの人数、スタックの大きさ、プレイヤーのプレイスタイルによって少しずつ変化することを忘れないでください。
2.リニアレンジ
スターティングハンドの強さに応じてアクションを行うのがリニアレンジです。
マージレンジと呼ばれることもあります。
強いハンドから中程度のハンドでレイズし、勝率の低いハンドではフォールドします。
そのため、オープニングレンジでは通常レイズかフォールドのどちらかです。
ポーカープレイヤーの多くはリニアレンジであることが多く、ブラフも混在しています。
特に、頻繁にレイズし、継続的にプレッシャーをかけてくるアグレッシブな相手に対して、バリューハンドとブラフを組み合わせたリニアレンジを持つことで、ブラインドを効果的に守り、弱点を突かれるのを防ぐことができます。
下の表が、一般的なリニアレンジです。

多くのナンバーをバランスよくカバーしているため、リニアレンジを持つプレイヤーがフロップでベットを続ける場合、ブラフかバリューベットかの判断が付きにくいと言えます。
ただし、フロップが低い位のハンドばかりの場合、リニアレンジは相手に付け込まれる可能性があります。
また、常にリニアレンジでプレイしていると、相手にハンドを読まれやすくなることに注意しましょう。
3.コンデンスレンジ
コンデンスレンジ(コンデンスドレンジ)は、中程度のハンドを多く含み、デポラライズドレンジと呼ばれることもあります。
コンデンスレンジが多いのは、レイトポジションからのオープンレイズや、ブラインドポジションのハンドです。
主にポケットぺア、10~エースを含むハンド、中程度のコネクターハンドで構成されています。
これらのハンドは、セットやペア、2ペア、ストレートやフラッシュなど、強いポーカー役となる可能性を秘めています。
ブラインドは強制ベットを置いているだけに、相手のレイズに対してこのようなハンドでコールし、運が良ければストレート(ドロー)となることも。

ボードに中程度のカードが多い場合には、より慎重にプレイする必要があります。
また、ブラインドからのオープンレイズであれば、
4.混合レンジ
上記のレンジは、定義もシンプルに見えます。
しかし、ポーカーは様々な要素を考慮しなければならない複雑なゲームです。
そのため、これらのハンドレンジを混合し、読みにくくしたハンドレンジが混合レンジ(マージ)です。
通常、混合レンジには、ブラフ、ナッツ、そして適度なインプライドオッズを持つ中程度のハンドが含まれます。
ブラフキャッチする際も、マージレンジが多いと言えるでしょう。
チェックコールまたはチェックレイズされる場合、ナッツハンド、ミディアムハンド、そしてゴミハンドの可能性があり、非常に読みにくいのがマージレンジです。
とはいえ、リニアレンジだけでプレイしていては、そのうち相手にハンドを読まれ、ポラライズレンジは多くのストリートでハンドを発揮できず、相手に利用されやすいといえます。
そう考えれば、マージレンジが存在するのは自然と言えるでしょう。
マージレンジの例として、以下の様なハンドレンジが挙げられます。

ハンドが読みにくいマージレンジを相手にプレイする場合、次第に他のプレイヤーは強いハンドで挑んでくるようになります。
そうなった場合、プレイ戦略としては、ボードと相手のハンドの可能性を考えながら、ブラフは控えめにしておくのが良いでしょう。
ハンドレンジの考え方
以下、実際に例を挙げて相手のハンドレンジを考えてみましょう。
具体例:
ハンドレンジの推測は、プレイヤーにカードが配られた時点から始まります。
プリフロップ
テキサスホールデムのテーブルで、UTGがオープンレイズし、ボタンのあなたは「T♣ T♠」でコールしました。
UTGからレイズする場合、A もしくは K 絡みの良いハンドを持っていると考えられます。
しかし、中程度のコネクターの可能性や中程度のスーテッドはかなり低いでしょう。
SBとBBはフォールドし、フロップに進みます。
フロップ
フロップは「Q♥ 6♥ 5♣」で、相手はチェック。
ここで、相手がどのようなハンドの組み合わせをチェックするかを考えます。
- 6/5のセットをスロープレイ
- 高位カードのスーテッドハンドでフラッシュドロー
- 何らかのポケットペア
チェックというアクションは、スロープレイをしているか、エアーかのどちらかです。
また、相手もあなたのハンドを同じように見ているため、Qを持っていればこちらのハンドがターンで発展する前にベットを行うはずです。
そのため、相手のハンドレンジは以下のように絞り込むことができました。

あなたは½ポットをベットします。
エアーまたは22~44のポケットペア、Qを含まないA絡みのハンドの場合、相手はフォールドしてあなたがポット獲得。
しかし、相手がコールした場合、この状況でチェックコールするハンドを考えてみましょう。
おそらく55~99、JJ~AAのポケットペア、スーテッドハンドのフラッシュドローです。

ターンで「9♠」が現われ、ボードは「Q♥ 6♥ 5♣ 9♠」となり、相手は再度チェックしました。
ここであなたは ½ポットをベットし、相手がリレイズしてくればセット、Q以上のポケットペアを持っていることが有力視されます。
リバーでフラッシュが完成する確率は19.6%なので、ドローハンドなら、ベット額が相手のスタックのどのくらいの割合を占めるかによってコールかフォールドするかのどちらかです。
ドローハンドと推測するなら、あなたがポットを獲得する可能性は高いでしょう。
コールしてきた場合は、リバーのカードによってドローハンドが完成したかどうかが分かります。

また、相手も同じように、あなたのハンドレンジを絞り込んでいるはずです。
しかし、ボタンのポジションであれば、相手のオープンレイズにコールする際のハンドレンジはUTGより広く、Qや高い位のポケットペアを持っていることも考慮しているはず。
リバーまで相手がチェックコールで追いかけてくるようであれば、相手のプレイスタイルやベットサイジングの傾向、自分とのスタックの差、期待値を踏まえ、リバーカードと相手のアクションからさらにハンドレンジを絞り、最終的なアクションを決定しましょう。
ポーカーのハンドレンジの覚え方
ポーカーのハンドレンジの覚え方として、以下のポイントを挙げています。
- 「ポケットペア」、「ストレート」など要素ごとに覚える
- ハンドレンジの構造をよく理解する
- 実践を重ねる
スターティングハンドのレンジは、ポジションによって変わります。
また、プレイヤーの数、スタックの大きさ、プレイスタイルによっても異なるので、全てを覚えることは不可能です。
そのため、感覚的に覚え、その状況において相手のアクションやこれまでの傾向から情報を得たうえで、消去法で推測していきます。
結果、ハンドレンジ表で「この辺りのハンドレンジ」と推測するのは、それほど難しいことではありません。
加えて、以下のプレイヤーの基本知識を考慮すれば、かなりハンドレンジは絞れるでしょう。
- プレイヤー数が多いほどハンドレンジは狭くなり、少ないほどハンドレンジは広がる
- ポジションが不利なほどハンドレンジは狭まり、有利なほど広がる。
- スタックが大きいほどミドルカードをプレイする頻度は高くなり、小さいほど慎重になる。
- アグレッシブなプレイヤーほどハンドレンジは広く、タイトなプレイヤーほどハンドレンジは狭くなる。
これに、相手のベット額やブラフ頻度を考慮すれば、わずかなハンドレンジに絞ることもできます。
ソルバーやリアルタイムアシストといったソフトウェアを使って、特定の状況によるハンドレンジを勉強するのもおすすめです。
ただし、これらのソフトウェアをリアルマネーでのプレイに使用するのは規約・ルール違反となるので注意してください。
ハンドレンジが理解できれば、GTO戦略をより容易に身に着けることができるでしょう。